季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

万両(まんりょう)

実は万両と千両の違いを知らない。両方とも赤い実がなる。実家の庭にもあったし、今の庭にもある。
実家の庭から思うことは、考えてもいなかったが没落家庭だったのだろう。じいさんという人は百姓の土地をすべて売って、東京に出て銀行の支店長になった。だからウチは東京屋と呼ばれていた。引退と同時にまた田舎に戻ってきて農地を買い戻した。庭には丁寧に管理された苔が生えていた。灯篭もあった。見事な松の木も。しかしじいさんは亡くなり、親父たちは男5人兄弟。親父は結婚して私たちが生まれる。そのころは貧乏のどん底。管理していない苔は何とも貧弱だった。
下の句、万両でなくても、どんな季語にもあうと思う。
万両やつねのこころをたひらかに 森澄雄