季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

水中花(すいちゅうか)

子どもの頃、縁日で、野球のボールほどのガラス球に入った水中花を買ってもらった記憶がある。水中花は、夏祭りの風物のひとつだった。

造花なので、つぼみから咲く、あるいは咲き終わって散るということがないから、さびしい花ではある。そして、目立つような色合いの花を入れるから、毒々しい感じもする。

中国から伝わったという説があり、江戸時代には酒席での遊びとして酒の杯に浮かべることが流行ったため、「酒中花」「杯中花」の呼び名もあるという。

泡一つ抱いてはなさぬ水中花 富安風生