季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

浮き人形(うきにんぎょう)

行水はお風呂の代わりではあったが、子どもにとってみればビニールのプールみたいに、遊び場であった。そこでの玩具が浮き人形というわけ。手で沈めても浮いてくる金魚やアヒル、人形など。塩化ビニールセルロイドで作ったものが多かった。ブリキのものもあった。何度やっても浮いてくる。それでも飽きることはなく繰り返した。

そういえば、樟脳やろうそくでブリキの舟が進むものもあった。

下の句は、行水ではなくて、夜店などを散歩していてのことだろう。夏の祭りなどが思い出される。

浮人形見てゐて妻とはぐれけり 永澤 謙