季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

落とし水(おとしみず)

農家で育ったせいか、農事の季語が気になる。稲刈りの一月ほど前から田の水を抜く。それは間もなく収穫が始まる予兆のようなものである。

我が家の田にはいなかったが、カブトエビのいる地域がある。最近は通販で卵を売っている。子どもたちが、夏休みの研究ということで飼っていると知人に聞いた。小さな小さな、兜をもったエビ。一生は20日ほどだという。だから、夏休みの研究にはちょうどいい。ふ化率は3割くらいだという。来年、再来年、よい環境になれば残りが生まれる。昨日、稲や草の穂について書いたが、生物のふ化についても同様の知恵があるようだ。

満天の星はこぼれず落し水 鷹羽狩行