季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

曼殊沙華(まんじゅしゃげ)

彼岸花ヒガンバナ)ともいわれる。他に死人花、幽霊花、捨子花などともいわれる。地域によってもさまざまな呼び方がある。なんだか不気味なイメージの花である。

実は我が家の庭にもある。彼岸になって庭を見ると片隅に咲いている。忽然と赤い花が現れる感じだ。30数年前、家を購入する前から植えてあって、それが増えるわけでもなく咲く。

球根には毒があるが水に晒して食べれば問題がないという。そこで江戸時代には飢饉のときのために、田の畔などに植えたという言い伝えもある。というのは、種となって増えることがないからだ。ちょうど彼岸の季節に、盛岡に行く用事があった。車窓からの風景で、ヒガンバナがきれいだった。

その曼殊沙華、数年前にネット上で種を見たような記憶がある。

例年になく今年は開花が大幅に遅れている。いつまでも厳しい暑さの続いたことが原因のようだ。それにしてもこんなことは初めてだ。

近年、白い曼殊沙華を近所の庭で見ることも増えた。

前の世に来りし家か曼珠沙華 平井照敏