季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

紅葉且つ散る(もみじかつちる)

秋の季語と言えば月と紅葉が代表格か。さまざまな表現がある。「紅葉且つ散る」は季語としては比較的長い。今を盛りにしている紅葉があるかと思えばすでに散ってしまっているものもある。散った紅葉が小川を流れていく。風に舞っていくことも。そして、その同時進行を味わうという季語である。

山全体から感じることもあれば、一本の木から感じることもある。視線の高さの違いで感じたり、あるいは、時間の経過を感じたりもする。

紅葉且つ散る老境へまた一歩 岩田千代子