季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

案山子揚(かかしあげ)

稲刈りの終わった田んぼに案山子がいて驚くことがある。お年寄りに似せて、椅子に腰かけてうつむいた案山子を見ると、思わず笑ってしまったり。

案山子揚は、陰暦十月十日に長野県や山梨県などで行われる行事。案山子はもともと山から降りてきた田の神と考えられていた。田の神が山へ帰るこの日、田から案山子を引き上げ、餅や大根を供えて感謝するというもの。

穀物の神だけでなく、案山子もやはり神だったのか。

案山子揚げ目鼻あらたに祀られぬ 大野林火