季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

獅子舞(ししまい)

獅子舞と言えばお正月に家々を回る門付けだが、我が家の方は年末にやってきたように思う。リヤカーに荷物を積んで男4,5人で賑やかにやってくる。子どもの頃はそれについて回ったりもした。
我が家に来ると、母が兄の頭を差し出し、獅子が大きな口をあけて頭を噛む。私は恐ろしくて便所に隠れる。私がそれを強要されることはなかった。
いわゆる惣領への儀式なのだった。次男坊は対象外。七五三の写真にも兄は盛装して映っている。私には七五三の写真はない。そういうことを言えば、姉や妹もそうだから、私だけが埒外に置かれたわけではない。
獅子舞来るカチカチカチと子供食う 澤柳たか子