季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

山桜(やまざくら)

桜の語源は「さ」が穀物。「くら」は場所。山の穀物の神さまが降りてきて、麓に花を咲かせる。と、もうすぐ農事が始まる。私の姉の名前は早苗。穀物の「さ」の苗だ。早乙女なども穀物に関係している。
子どもの頃、山桜が咲きだすと友人と山に行ったものだ。肩に乗せられないほどの桜を背負って、野に降りてくると、誰もが少し分けてくれとせがむ。それが得意で行くようなものである。
崖っぷちの木に登って枝を折るのはけっこう危険だったのだが。
山桜根にも一りん咲出でゝ 渡邊白泉