季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

麦の秋(むぎのあき)

麦刈りの季節。
私の住む市川・国府台は水の便が悪く、戦後の開拓民が麦を栽培した。そういうなかからパンのヤマザキが業を営んだ。ヤマザキ発祥の地である。
それにしても、稲は脱穀して米粒を炊くが、麦は粉にしてパンなどに加工する。稲は脱穀がしやすい。しかし麦は殻をはがしにくいので、粉にしてから殻を別にする。
麦刈り後の、麦わらもいろいろに加工したものだが、いまは麦わらを見ることもなくなった。各地に麦わら工芸があって、子どものおもちゃやお土産などになったものだが、そういう文化もすたれていくだろう。
麦秋や母のちからの握り飯 宮村明希