季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

車前(おおばこ)

オオバコの呼び方はいろいろある。それだけありふれた草だったのだろう。私の田舎では「カエルッパ」と言った。葉をまるめて糸に結んで、田んぼでピョンピョンと動かす。どこからともなく蛙がきて咥える。蛙釣りの遊び。なぜオオバコでやったのか、理由がよく分からない。
どこにでもあった、ありふれた草だったが、今はあまり見なくなった。舗装の影響だと思っている。オオバコは踏まれることによって種を遠方までもっていく。車輪や靴。踏まれることに強い草でもあった。土のかたさをものともしない。むしろ轍を好む草といっていい。
車前草が溺れて涼し夕立晴 富安風生