季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

案山子(かかし)

新米の出回る季節になった。もう、と驚く人もいると思う。

案山子は、鳥獣の害を防ぐために田畑に立てる。この季節に立っていることが多く、目立つ。かがしという人もいる。どうやら、昔は鳥獣の肉や毛を焼いて、その悪臭をかがせて追い払ったという。それで「嗅かし」と言ったらしい。

どれほどの効き目があるか分からないが、案山子の人相やファッションを見るのは楽しい。もちろん雨ざらしにするわけだから、新しい衣類を着せることはしない。しかし、半纏を着る案山子がいたり、人間が着ていた頃を忍ばせる衣類もある。

目鼻立ちが面白かったり、作った人の思いが伝わる案山子もある。

吾れよりも流行を著て案山子かな 高塚頼子