季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

自然薯(じねんじょ)

もう数十年前、富士山麓で暮らす友人のところに自然薯掘りに行ったことがある。今頃の季節か。自然薯の紅葉を目当てに探す。だから、落葉してしまうと探せない。根本の1メートル手前くらいから掘っていって、自然薯が折れないように大事に大事に掘る。石など固いものがあるとそこを避けて伸びていくから、大根を抜くようなわけにはいかない。

この世界にも業者がいて(この時期だけだろうが)、太い釘の棒で掘るらしい。麻袋に包まっているのを見せてもらった。私たちの掘ったのは指くらい。業者のは手首近い。

掘った後は、蔓の根本を土に埋めておく。来年も芋ができるように。

自然薯にみだらな話山笑ふ 中山純

自然薯の偏屈を押し通す形 高澤良一