季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

根釣り(ねづり)

気温が下がってくると川や海の水温も下がってくる。晩秋には根釣りという季語がある。根は岩根のことで、岩礁に潜む魚をじっくり待って釣る。

スポーツのように岩場を歩いて釣りをする渓流もいいが、時間をかけて竿を降ろすのも味わい深い。冬にはさらに水深の深い釣りもある。那珂川の河口、吃水域の船のドックは深さが200メートルもあった。川釣りを楽しむ私としては、ここは深場の釣りだった。子どもの頃、大きな鯒を釣った覚えがある。

根釣人帰り支度の函一つ 高澤良一