季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

柿落ち葉(かきおちば)

我が家から通りに出るまでの通路に柿の木がある。しきりに青い実が落ちていたのは梅雨の頃だったか。その家の住人は引っ越して、今は無人の柿の木である。この時期になってもだれも取らないから、毎朝カラスが枝にいる。
それにしても、柿の落ち葉は美しい。鮮やかな赤、そして緑も濃い。子どもの頃は学校から帰ってくるとよく柿の木に登ったものだ。1人柿の木で過ごす。人が歩いていても上に人がいることに気づかない。そういうことが楽しかった。
この時期、早く日が落ちるから、夕方の落ち葉に目が行くことはない。柿落ち葉と言えば、日差しのまぶしい朝の風物である。
庭木戸を出て柿落葉踏みてゆく 星野立子