季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

泥鰌掘る(どじょうほる)

稲を刈った後の田んぼをカビ田と呼んでいた。二番穂がでて、12月ともなると、それも立ち枯れる。秋から冬にかけて、学校から帰るとドジョウを掘ったものだ。1升いくらという感じで現金収入にもなったが、お金にした記憶はない。
素足では冷たい。学校帰り、みんなと群れて遊ぶよりはこうした一人での遊びの方が好きだった。表面は乾いていても、ひとつ掘り返すと濡れた泥で、ひとつの穴に一匹ずつ確実にいる。地面に開いた穴を求めて、広い田んぼを歩き回り、気が付くと我が家から遠く離れたところにいたりする。その頃は夕暮れている。
掘ったドジョウは味噌汁に入れて食べた。煮立った鍋に生きたまま入れて急いで蓋をする。ばちゃばちゃと音がするがすぐ音もやむ。
掘返す泥にさゝりし泥鰌かな 平松草山