季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

布団(ふとん)

季語に背布団(せなぶとん)あるいは腰布団(こしぶとん)がある。暖をとるために小ぶりの布団に紐をつけて背中や腰に結わえたらしい。寝る時にではなく外出に際して。となると季語よりも棄語だ。見たことも聞いたこともない。防寒がいまよりだいぶ深刻だったことが分かる。
いずれにしても、子どもの頃いったん温くなった布団から意を決して起きるのは辛かった。何度も起こされてやっと起きたものだった。
山頭火の句は優しい。「ふ」という語感を遊んでいる感じだ。
ふとんふうわりふるさとの夢 種田山頭火