季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

練炭(れんたん)

最近は見なくなった。一酸化中毒になりやすいからだろう。練炭というと自殺が思い出されるくらいだ。
石炭やコークスの粉などを固めて作る。丸い穴が開いている。バツグンに火持ちがいい。そういうこともあって、正月が近くなると豆を煮たり、時間のかかる調理には重宝した。
七輪も思いだす。考えてみれば、七輪の内円は練炭のサイズだ。どちらが先か分からないが。
そうそう、豆炭というのもあった。こちらも石炭の粉を固めたものだが、小石くらい。なので幾つかまとめて使う。
練炭の独特の臭いは服に残る。人ごみのなかでそういう臭いに出会うことがある。
外套どこか煉炭にほひ風邪ならむ 森澄雄