季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

鍋焼き(なべやき)

鍋焼きといえば饂飩だろう。冬はなべ物が全般的に有難い。なかでも、汁がしみ込んで色のついた饂飩をすすりながら酒をのむ。半熟の卵を大事そうに残しておいたり。じゅうぶんに汁を吸った油揚げでやけどをしたり。
ぶくぶくと煮立ったまま膳まで運ばれると、腹は減っているし寒いし、でもおいそれと手は出しにくい。
残り物を犬に食わせてみたらどんな食い方をするかと挑戦してみた。咥えて持ち上げて、もう一回パクっと咥えなおす。やっぱりすするのは難しいんだ、と納得する。
鍋焼を吹いて食べさす子守婆 滝沢伊代次