季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

干柿(ほしがき)

11月ごろだったか、裏庭の渋柿をとって、家族そろって干し柿作りをする。縁側で皮をむき、納屋の軒先に吊るす。夕日が移ったような、華やかな色に染まる。
冬になると甘みの増した干し柿をコタツで食べる。兄弟姉妹、父や母、一家団欒の思い出である。
渋柿を甘くするために、干し柿にするほか、大きな米びつのなかに入れたり、「のう」と言ったか、藁を円柱に積む。そのなかに入れる。また、大きなビニールのなかに、焼酎を付けた柿を入れたりした。
柿はそこら中にあった。だから今でも、食べたいが買うほどではないと、うっかり食べ損ねてしまう。
一本の柿のすべての柿すだれ 中戸川朝人