季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

麦踏(むぎふみ)

子どもの頃、冬に麦踏をしたことを覚えている。カニが横歩きをしているように歩く。母と一緒に、長い畝を、遠ざかったり近づいたり。面白いのは後ろ手をして麦を踏むこと。
小学の高学年になったころから、耕運機で歩くのが麦踏となった。耕運機は我が家にはなくて、隣のマサヒコさんのやっているのを見て、ときどきやらせてもらう。エンジンのついた機械に触れるのというのがなんだか気持ち良かった。
麦踏みのうしろ手解かぬ立話 荒井幸子