季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

野焼(のやき)

私の田舎では広範囲に野焼をする習慣はなかった。というより、よく整理された田園地帯だったので、焼くところがなかった。むしろ早めに田をすき返して土に日を当てることで病原菌や害虫を防いでいたのだと思う。
とはいえ、野焼の季節は、春の訪れを予感させるもので、心躍るものがあった。黒々の焦げた草のなかから緑の芽が顔を出す。
半鐘を打つて野焼の始まれり 太田土男