季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

沈丁花(じんちょうげ)

この香りは、と思わずあたりを見まわしてしまう。香りの高い花だ。低木なので、香りはすれど、という感じだ。とはいえ、今のところその香りには出会っていない。季語にあるから、もうすぐなのではないか、と心待ちにしている。名前の由来は香木の沈香からきている。
香りというのは不思議なものだ。齢をかさねた今となってはいい香りだな、と思うぐらいだが、素敵な女性の存在を感じてしまう。昨日の野焼の句のなかで、野焼から帰ってきた女性に女の人の香りが消えていたという句があった。そんなものか、と思う。
沈丁の香と思ひけり夢の中 池田松蓮