季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

桜蘂降る(さくらしべふる)

満開の桜の季節が過ぎると、桜の蘂(しべ)や咢(がく)が道に落ちている。桜蘂だけでは季語ではなく、降るまでを含めて季語。
それにしてもその量は大量なのだ。朝、桜の木の下を歩くと、夜の間に樹木がお祭りをやったような感じなのだ。それは桜に限らない。ある時、松の木の下に車を停めておいたことがある。一晩で、ヤニが車にびっしり。まさに樹木は夜中でも生きている。
蘂のみのさくらとなりて夕日透く 能村登四郎