季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

菜の花(なのはな)

新型コロナで緊急事態宣言。家にいるだけだとうつうつとしてくるので、江戸川沿いを散歩する。雑草のように菜の花が咲いていた。
立ち止まって眺めているうちに、菜の花は一年生草花だと思いだした。正確には越年をしているから二年生草花なのだが、一回きりで枯れてしまう。
多年生草花が戦略として一年生草花になったと昔、習った。そんな命の選び方があるのだろうか。一個の一回性の命として、長く生きようとするのが命ではないか。種としての命、という考え方ができるのだろうか。
動物では不可能だろうな、と思うが、待てよ、とも思う。人間以外の動物は、子どもが独り立ちする頃に寿命を終える。子どもと親が食料をめぐって争わないように、だ。そうやって考えていくと、動物にも種としての命があるのだろうか。
菜の花のたましい遊ふ胡蝶かな 正岡子規