季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

竹の秋(たけのあき)春筍(はるたけのこ)

先に春落葉を紹介したので、竹の秋を取り上げてみたい。竹は春に落葉するが、タケノコに栄養を与えるためだといわれている。竹の根はまるでネットワークのようだ。竹林がまるで一つの生物のようである。
竹の秋」とわざわざことわった季語になっているが、竹そのものはいつが季語なのだろうか。涼しい風が吹きわたる夏の竹林もいいし、雪も青竹に映える。樹木や草は「竹の秋」というように何かを付け加えて季語にしているようだ。
竹の秋の季節はタケノコの季節である。だが、タケノコだけだと夏の季語らしい。まったくややこしいが、考えてみればいろいろな種類の竹があって、タケノコの種類も多い。このシーズンのタケノコは「春の筍」とやはりことわったうえで季語にしている。
春に出回るタケノコと言えば孟宗だろう。孟宗のタケノコを掘りに行ったことがある。竹林の中を歩き、靴の裏に感じるくらいのものを見つけて掘る。表面に顔を出さないものを探すというのではマツタケに似ている。
観音さまほどに春筍むきにけり 坂井春青