季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

花鎮め祭(はなしずめまつり)

毎年4月18日に奈良県桜井市の大神(おおみわ)神社と摂社の狭井(さい)神社で行われる祭り。
花の散るころに疫病が流行るので、花の霊力によって悪霊を鎮める祭りという。崇神天皇の時にはじまったというから起源は古い。
京都市の今宮神社の摂社の一つである疫(えやみ)神社も祭りを行い、安良居祭(やすらいまつり)と呼ばれ、季語になっている。
昔は、花の力を借りて厄災から守ろうという信仰があったようだ。
桜が咲くころには盛大に祝うが、それも心の浮き立つにまかせて花見をするだけ。花の霊力を感じる力はすでに失われている。そして、花の散るころには、もう関心はよそに移っている。そんな現代の想像力の衰退を感じざるを得ない。
花鎮め花によりゆく水をみる 津根元潮