季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

鯉幟(こいのぼり)

滝を登るイメージから鯉登かと思っていたが、幟の一つ。多くは武家の習わしだったようで、必ずしも鯉だけではなく定紋や鐘馗(しょうき)の絵を染め抜いた幟を兜、長刀(なぎなた)、吹流しとともに家の前に立てた。それを小さくして座敷幟になったりした。
町人もその習わしを取り入れ、滝をも登る鯉を出世の象徴として鯉幟を立てた。ということなら、鯉登もあながち間違いではないのだろう。
風吹けば来るや隣の鯉幟 高浜虚子