季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

葉桜(はざくら)

満開の喧騒。咲き始めのまだかまだかの心境。それが過ぎると、一気に桜への関心は薄れる。不平を言う人もいる。毛虫がぶら下がるのが嫌で日傘をさして歩く人もいる。
だが、新緑もいいと思う。とくに木漏れ日がいい。木々がそよ風に揺れながら、木漏れ日も揺れる。子どもの頃、日食の日があった。なんとなく木漏れ日を見た時の感動が忘れられない。木漏れ日がなんと小さな月のかけらのようなのだ。ひごろ何とも思っていないが、木漏れ日の丸い絵模様は太陽の陰だったのである。
葉桜にときおり溺れ抗えり 津沢マサ子
こんなのもいい。
葉桜や白湯を甘しとおもふ齢 渡辺恭子