季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

青田(あおた)

田んぼの風景はいろいろな季語となっている。代掻きが終わって田植えのできるようになった田を代田という。田一面に水が張られて、鏡のようである。神聖な感じがする。田植えを終えて間もない田のことを植田あるいは早苗田という。苗は整然と並んでいて、水に影を落としている。
そしてこの時期の田を青田という。青田風、青田波、青田道とさまざまに表現される。この季節を過ぎると青稲といわれる。
下の句、除草機といっても今の人には分からないのではないだろうか。スクリューのような羽を付けた手押し機である。二連になったものが多かった。まだ小さな雑草をこの除草機で掻き取るのである。畝ごとに押して歩くのだから、体力はいる。主に男の仕事だが、青稲の季節になると、今度は女の人が手で草をむしり取る。体力としてはこの方が何倍も大変だろう。中腰での作業だから、夕方、母の手の甲がむくんでまるく膨らんでいたのを思いだす。
除草機を通す青田の青櫛目 羽公