季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

柿の花(かきのはな)

柿といえば晩秋の季語になるが、花はこの季節。と言っても、あまり注意深く見ることはない。季語になっているというので、葉に隠れた白い花をしっかりと観察した。4枚の大きな額のなかにこれも4枚の花弁がある。庭ごとに競うように咲いている薔薇に見飽きた私には、むしろ好ましい。
柿の木は雌雄の花をつける。雄花の方は受粉が済めば散っていく。だから柿の木の下には多くの花が落ちている。ちょうど毛虫が活躍し始める時期だから、虫に食われて落ちているのかと思っていたが、雄花だったわけだ。
4枚の額は柿が実ったときには黒いヘタとなる。それは漢方薬として有名なのだという。
柿の花浮く大甕の溜り水 福川悠子