季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

十薬(じゅうやく)

薬効があるということでこんな名がある。ドクダミのこと。ドクダミの白い花も、美しいと言えるのではないか。においわるいものではない。総じて、そんなに嫌いではないのだが、しかし庭にはびこるととめどなく広がる。地下茎で増えるのだ。十薬の花ひっぱって蜘蛛の絲(星野立子)の句もある。
繁殖のはやさに「助けてくれ」という気持ちだが、先日土手を散歩していて、ドクダミを摘むおばあちゃんを見かけた。煎じて飲むとか、漢方のくすりを作るのだろうか。
十薬やこの世に途中下車をして 篠田くみ子
地下茎でつながるドクダミは、前世かあの世かを思い出させる草である。