季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

花茣蓙(はなござ)

子どもの頃、茣蓙といえばビニール製のものが大半だった。だから、イグサの香りはしない。
また、花茣蓙といえば縁側などに敷いて、ただの茣蓙とは違った涼を味わったものだろうが、私たちの頃はそういう使いかたはしなくなっていた。イグサの香りもなく、べたべたしたビニール製では、味わいもないし当然だろう。
ではどんな時に使っていたのか。お盆の、壇を作るのに使っていた。茄子の馬やスイカなどを載せて。
花茣蓙に坐れば母とあるごとし 八染藍子