季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

新緑(しんりょく)

緑は真夏の季語だが、新緑は言うまでもなく初夏。山の風景はさまざまな緑に彩られているが、なかでも新緑が美しい。この頃になると陽ざしも強くなり、新緑も鍛えられて緑色を増す。
子どもの頃、この季節には新学期も始まって家庭訪問が始まる。母と先生が話しをして、次の訪問先まで自転車で先生を送っていった。先生が運転をして、私が後ろに乗る。「美しいお母さんだね」と先生がいった。誇らしい気持ちになって、今でも覚えているが、私がどんな反応をしたのかは記憶にない。
新緑に美貌の母を子が誇る 山口誓子