季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

常盤木落葉(ときわぎおちば)

常盤木は常緑樹のこと。その落葉だから常盤木落葉。夏落葉ともいう。
落葉樹は秋に葉を落とすが、常緑樹は春に葉を落とす。自然の現象はそのまま受け入れるのがいいのだと思うが、この違いに「なぜ」と感じてしまうのは私だけだろうか。小学生くらいだったら、夏休みの課題で取り組んでみたいものだ。
落葉は秋との先入観があるからだろうか。春の樹木には匂いや新緑など情報が多すぎて落葉には気づきにくい。椎の巨木のところに引っ越してきてから、夏の落葉が気になるようになってきた。先にも書いたが、椎の木の下にトタン屋根があるから、冬にはトンカラカラとどんぐりが落ちる。塀を越えて我が家の庭にたまるから、酔って帰ってきた私は玄関先で転びそうになる。
夏の落葉について書こうと思いながら、またどんぐりの話になってしまった。悪乗りになるが、宮沢賢治の詩に「メッキのどんぐり」が出てくる。カタカナだったので「芽つきのどんぐり」と勘違いした人のエッセイを読んだことがある。
木の花の散るも混じれる夏落葉 岩田由美