季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

向日葵(ひまわり)

ひまわりの種を餌とする小鳥を飼ったことがある。思わずの不注意で死なせてしまって、大量の種だけが残った。庭に捨てておいたら芽が出て、数本のひまわりが咲いた。

大輪のひまわりだが、周辺の花びらひとつひとつが花なのである。中心には種ができる。その種を食用にしたり油を搾ったりする。

ひまわりの原産地は北アメリカ大陸西部。紀元前からインディアンの食料だったという。1500年代にスペイン人が種を持ち帰り、17世紀に広まる。フランス、ロシアにわたって、ロシアで食料として民衆に普及した。ひとつの種が、ながい年月、人々の歴史とともにある。というより、支えてくれた。

最近では小ぶりなヒマワリが花屋にあって、ささやかな夏を味わえる。

向日葵を敵にまはして鬼瓦 井坂景秋