季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

行水(ぎょうずい)

行水と言えば、塀囲いの庭ということになるだろう。湯を沸かして、風呂代わりに使う。脱いだ衣類やメガネなどにも風情がある。月や蝉の声なども。なんだか、どんなことでも句になりそう。裸だから、来客や塀の外の声も気になる。

近年はどこの家にも風呂があるから、行水はやらなくなった。かわりに、子ども向けのビニールのプールが好まれる。こちらは水着を着て、大騒ぎ。あまり風情はない。

静かなる音して妻の行水す 久保一秀