季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

蟷螂(かまきり)

泡のようななかから子どものカマキリが次々に現れてくる。そういう昆虫の多産は、それだけ他の生き物に命を提供しているからなのだろう。

多くの子ども蟷螂が他の生物に命を提供するのと対照的に、大人になった蟷螂は鎌を使って命を食う。

秋まで生き永らえた蟷螂の腹は大きい。もちろん卵を産もうとしているのだろうし、その時の雄を食い殺してしまう、一見非情な生態は有名だ。子どもの頃、蟷螂のお腹から出てきたハリガネムシがいつまでもくねくねと動いているのを見ていた記憶がある。寄生していたハリガネムシは宿主を水辺に誘う。水辺を感知すると宿主から出て産卵をするという。

蟷螂の人の如くに顔をまげ 稲村蓼花