季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

籾(もみ)

刈った稲は藁ごと乾して脱穀をする。そして籾となる。これをまたむしろなどに乾して籾摺りを行う。そうしてできるのが玄米。それを精米して米となる。

手のかかる作業なのである。機械化したいまは工程が大幅に短縮されている。入れた俵もいまは紙袋。情緒がなくなったと言えば言える。しかし農業に関わる人は大幅に減り、高齢化している。

ただ思いだすことはできる。筵に籾を乾して、雲行きが怪しくなると、遠くにいても急いで帰る。こんな非常のときは、子どもの手も貴重だ。

秋はそうした気遣いの季節なのである。

家々に広き庭あり籾莚 宮本静代