季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

尾花蛸(おばなだこ)

蛸は春から夏にかけて産卵をするので、晩秋の蛸は味が落ちると言われている。食べ物の旬や、あるいはそのシーズンには食べるのを避けた方がよいという場合に、身近なものと例えて表す言い方が昔は多かった。尾花は芒の花。動物の尾に似ているから尾花と言われる。

蛸は身近な食材だったのだろう。そのシーズンも終わる。終わると、何が始まるのだろう。牡蠣かアンコウか。秋の季語に温め酒、というのがあるが、初冬の味わいでもある。

尾花蛸の一つも釣れて漁終る 松崎鉄之介