季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

炬燵(こたつ)

子どもの頃は、朝起きるとトイレに行って、それから火を入れた炬燵にまたもぐりこむ。ご飯を炊いたあとの残り火で作った炬燵だから、布団も焼けるように熱い。

小言を言われながら家族全員で朝ご飯。父だけが胡坐で、後のみんなは正座。そういう一日の始まりだった。

掘り炬燵に出会ったのはいつだろう。もう成人してからだろうと思う。なんだか落ち着かない気がした。そうそう、洋式トイレも成人してからの出会いだった。

下の句、つまんねえ男、の表現がいい。男の側からいうと、つまる男というのはいるんだろうか、と思うが、女の人がこう言い切ってしまって掘り炬燵にいる、その破れかぶれ風なのもいい。

つまんねえをとこを捨てて掘炬燵 田中たみ