季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

手毬歌(てまりうた)

子どもの頃の冬のシーン。霜柱のとけたぬかるみを避けて、軒先近くで毬をつく。家族中が縁側に集まってそれを見ている。奥にコタツはあるが、コタツより日差しの方がぬくいからだ。
歌に合わせたり、足の間をくぐらせたり。失敗して毬が泥に汚れても、すぐに乾く。こんな和やかな家族の思い出がもう一つある。やはり冬場で、土間でフラフープをやった。そのころ、フラフープが流行り始めたが、我が家にはない。同居していた叔父が竹で作ってくれた。みんなコタツにいて、土間に一人ずつ行ってフラフープをやる。それぞれの腰の振り方に特徴があって笑えたものだ。
手毬歌かなしきことをうつくしく 高浜虚子