季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

梅見(うめみ)

派手さでは桜にかなわないだろうが、春を待つ予兆としての梅はまた別の良さがある。春の予兆で心浮き立つのに、階級や年齢は関係がない。が、年寄りほど春の訪れはありがたいのではないか。

訪れ、もともとは音づれだったようだ。平安の昔、衣の擦れる音で人が近づいてくるのが分かる。季節に衣の擦れる音はないが、人の出会いのようにどこか心躍るものがある。
梅見婆はしよれる裾の派手模様 星野立子