季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

竹の皮脱ぐ(たけのかわぬぐ)

筍と言えば孟宗竹しか知らなかったが、昨年の梅雨の頃、真竹の筍をいただいた。土から顔を出したばかりの筍ではなくて、かなり大きくなったもの。考えてみれば、いろいろな種類の竹があって、それぞれに味わい方も異なる。
竹は着物を脱ぐように、成長とともに皮を脱いでいく。そういう現象が季語として句が作られる。月夜の竹林で皮を脱ぐ音がしたとか、脱いで見せた若竹の肌の色とか。人間の成長と重ね合わせてみたり。
脱いだ皮で工作をするのもいい。包み紙のかわりに利用することもある。丁寧に、その皮を保存している年寄りもいた。
子どもの頃、竹の皮に梅干しを包んでしゃぶったことを思いだす。竹の皮には産毛のようなものが生えていて、それを板などで擦って落とし、梅干しを包む。しゃぶっているうちに梅干しの赤い色がにじみ出てきて、それを友達と見せ合う。
竹皮を脱ぎ月光に加はりぬ 鳥居美智子