季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

田打ち(たうち)

数日前に畔塗りを取り上げたが、春には農事にかんする季語が多い。耕、田起し、種浸し、種案山子など。農作業を機械に頼らない頃は、稲刈りがすむとすぐに田起こしをしたものだ。刈ったままにしておくとカビ田とか言われた。稲の株がまるでカビが生えたように見えるのだ。農作業に熱心ではないと思われた。
機械化とともに冬の間のカビ田は当たり前になり、田植え直前までほおっておくから、レンゲなど田んぼは花盛り。そういえば田植えの機械化は、苗床も田んぼではなくビニールハウスになった。
種浸しという季語もある。我が家の方では、種籾を麻袋に入れて風呂につける。発芽を促すのだ。今日は種浸しをやるから、早く風呂には入れ、とか言われる。
こうして農事は1年の周期で繰り返される。
生きかはり死にかはりして打つ田かな 村上鬼城