季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

箒木(ははきぎ・ほうきぎ)

箒草ともいう。こんもりした若草色で、一度庭に植えると毎年庭に芽を出す。秋口、色が変わって、その色も楽しめる。そんな畑を作って観光地にしているところもあった。そうそう、今ではコキアの方が分かりやすいか。あの丸みに手足をつけたら、アニメにでも出てくるキャラクターになりそう。
子どものころ、確かに竹ではなくて草でつくった箒があった。ああ、あれか、という感じ。それから、箒草の実を塩漬けにして食べたと記憶している。とんぶりといった。ぷちぷちして魚の卵のよう。当時は知らなかったが、キャビアに似ていた。
帚木といえば、源氏物語だろう。第1帖である桐壺の次の帖。この帖のいわれは、光源氏と空蝉が交わした和歌「帚木の心をしらでその原の道にあやなくまどひぬるかな」、「数ならぬ伏屋に生ふる名のうさにあるにもあらず消ゆる帚木」に因んでいる。
箒草よい風が来てよい浮世 池田澄子