季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

蝉時雨(せみしぐれ)

まだまだ暑い。というより今が暑さの盛りか。朝からセミが鳴いている。珍しく、今年はにいにいぜみが鳴いたし、アブラゼミも鳴いた。夕方になるとミンミンゼミも。不思議なことに、この蝉しぐれのなかにいると、静けさが味わえる。

ところで昨日の夕刻、聞きなれない蝉の鳴き声だと妻が言う。私は聞き分けられないのだが、うるさい声だという。蝉ネットで探した、最近埼玉の方で増殖しているタケゼミの声を聞かせたらこれだという。

正式名はタケオオツクツク。中国から輸入した竹ぼうきに卵がついていたと言われている。クマゼミよりも大きく、竹林に生息しているという。川口周辺で大繁殖しているというが、もうこの辺にも来ているのかと少し心配になった。

金属の、ギシギシと油の切れたギアが鳴るような煩さだ。

一村を包みて余る蝉しぐれ 松田明子