季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

稲妻(いなづま)

大きな雷が少なくなったように思う。子どもの頃の雷はとにかくすごかった。安全器を開いておくのに、そこを電気が伝わって、瞬間的に電灯がついたりしたものだ。

ところで、雷は雲から雲などに伝わるものの総称で、稲妻は天から地に落ちるものだと解釈する人がいる。語源も、実りつつある田んぼで、稲の実りを助ける妻や夫(つま)のことだという。

空中の電荷が植物の実りに影響を与える、そんな考え方もあったと思う。

雷に対して「くわばらくわばら」と唱えると雷除けになるという俗信があった。桑に関係した俗信という人もいるが、反対に、唱えるところから桑の木に雷除けの力があるとされてきたと解釈する人もいる。

稲妻の門で髪梳く女かな 存義