季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

蝗(いなご)

稲刈りが始まると蝗どころではない。だから、刈るばかりに色づいた田を歩きながら蝗をとる。お茶の入っていた細長い袋をもって、それに入れていく。帰ると、ばあさんが羽と足を取って炒める。美味しかった。

稲刈りの時にも蝗は飛び交うが、忙しいから蝗取りなどはしない。裸足で歩く田んぼのぬかるみと一緒に蝗を思いだす。

稲刈りの済んだ田んぼには白鷺もやってきた。我が家の方では「おだ」と呼んでいたが、刈った稲を掛けて乾す。おだの下には、落穂がある。それを拾うのも子どもたちの仕事だった。

母は母子は子の袋蝗捕り 岡田夏生