季語 日めくりエッセイ

木ノ内博道 俳句の季語に触発された日々の想い

冬蜂(ふゆばち)

夏には元気がよく獰猛な感じの蜂も、いまはすっかり元気をなくしている。蜂に限らず、虫たちは死んでいくのか、越冬するのか。日の当たるところをのろのろと歩く。

子どもの頃、冬の縁側は楽しかった。鏡を持ち出して陽光を反射させて遊んだ。戸袋には弱った蠅が飛んできて、蠅獲り蜘蛛の独壇場だった。

死にどころなく歩きけり、なんだか句を読んでいる人の思いにダブってくる。

冬蜂の死にどころなく歩きけり 村上鬼城